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次の言葉も禅の精神に通じるものがあるように感じます。
『信仰に生きることはすべて他の大きな危険の多い事業と同様である。しばしば危機一髪の瞬間には、もはや退けないと言う意識の方が、最大の勇気や理論的に完全な確信よりも、一層力強いものであり、また人を強くするものであるということが分かる。』 (「幸Ⅲ」115頁)
沢庵禅師は「間髪を入れない動きこそ仏教の極意だ。」(「禅入門 8 沢庵 不動智神妙録」 市川白弦 講談社)と言っています。人は人生の迷妄のなかにある時には寝ても覚めてもあれやこれやと思い悩み苦しみます。しかし、こうした煩悶が去った時、珠玉のものが出てきます。この「煩悶が去る」ということは間髪を入れない動きの中に出て来るのです。
ヒルティがもし、東洋の禅に触れる機会を得ていたならば、深い理解を示していたのではないでしょうか。
( 第七章へ続きます )
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